ももクロちゃんはでてこない話です。

ちーちゃんの話

　　　昨年の夏の夕涼みのちーちゃん

ちーちゃんは、約18年前、ふらっと我が実家に
住み着いた野良猫（真っ黒のお母さん）が産んだ
３匹の子猫の１匹でした。

子猫の中で一番元気がなく、ミルクの飲みも悪く、
生命力が弱い子・・・そんなはじめの印象でした。

なんとか離乳食を食べらるようになっても、
３匹の中でも一番臆病な子で、真っ黒のお母さんにべったりで
こっちに寄ってくるようなこともありませんでした。

食も細く（他の子に食べられちゃう）、
案の定、成長は悪く、体は一番小さくて
か細い鳴き声でしか鳴くこともありませんでした。
（正直ほとんど聞いた覚えがないです）

一番人懐っこくて大きな子が１年もたたず
車にはねられ、親猫子猫３匹の生活になりました。
しかしながら、この生活も長くは続かず、
もう一匹の子も、そして真っ黒お母さんも
同じように車にはねられて亡くなってしまい、
小さなこの子だけが残されました。

小さな茶トラの猫なので、ちーちゃん。

臆病でいつもビクビクしてて、
なかなか人に寄って来ません。
多分、実家の敷地から外に出たことないんじゃないかな？

実家がリホームする前、木を登ると二階の屋根に行けたので
毎日、二階の屋根の瓦の上をカタコト音を鳴らしながら、
歩いていたような覚えがあります。

夜は外のビニールが掛かった物置棚の下に
隠れて、毎日一匹で寝てたようです。

月日は流れて、あっという間に１８年。

一番生命力が弱いと思ってたちーちゃんが、
実家に行けば、いつも庭先にいました。
毛並みは多少お婆さんになったなって感じだったけど
昔からそんなに変わってない風貌。
若干、人への警戒心は薄らいでたかな。

１８年の間に今のみーたん以外の猫も
我が実家にはもう一匹居たんだけど、
ちーちゃんとは仲良しでした。
みーたんも、ちーちゃんとはいつも外で
日向ぼっこして一緒に寝てました。

臆病だけど、やさしい猫。
それが、ちーちゃんでした。

先々週、実家の母から、ちーちゃんが
弱っているとの連絡を受け、
食べやすい猫用の流動食を買って
持って行ったりしてました。

でも、昨日実家に行くと、
ちーちゃんが亡くなったと聞かされました。

家と家のブロックの間の狭い隙間に隠れるように
ひっそりと身を潜めて息を引き取っていたそうです。

寒さの強い日があったので、
寝床に湯たんぽとかも置いて
暖かくしてあったそうですが、
冷たいブロック塀の間まで移動してたと・・

自分の命が長くないと悟って
迷惑かけまいと、とぼとぼと歩いて行ったのかな。
想像すると胸が痛くなります。

でも、いなくなってなくて良かった。
暖かい毛布に包んで、手厚く葬ったとのことで、
少しばかり、母ちゃんの気持ちが救われていると思います。

亡くなったと思われる夜。

母ちゃんが長電話してると、
みーたんが珍しく、電話の邪魔を
何度も何度もしてきたんだそうです。
ちーちゃんのことひょっとしたら
教えてくれてたのかも。
もし、いなくなっていたら、
母ちゃん探しまくってると思います。

ずっと外に住んでたけど、
家の中に興味が無かったわけではないんです。
サッシの窓を猫が通れる分、開けていると
家の中に入って来ることも何度もあったから。
でも、‘中にいてもいいよ！’って言ってるのに
人影みると一目散に外に逃げて行くんですよね。
その背中が必死に謝ってるっていう感じで・・

家猫になりたくて、なれなかった猫。

ちーちゃん

ちーちゃんは立派な家猫だったんだよ。
いつもいた庭にいなくなって、母ちゃん悲しんでるよ。
でも、長生きしてくれてありがとう。
１８年間もよく外猫で生き続けてくれました。
そして、みーたんといつも仲良しでいてくれてありがとう。

天国でまた親子４匹で、
今度はいつまでも一緒に
暖かい家の中で暮らしてくれるといいな。